この試験は、政策の実行やフォローアップなどに関する事務を職務とする係員を採用する、社会人対象の採用試験です。2026年度は技術区分(九州地域を除く)と農業土木区分で実施され、第1次試験は基礎能力試験(40題・90分)と専門試験(40題・100分)、第2次試験は人物試験などで構成されます。この記事では、出題構成の正確な事実、必須分野の基礎を確認できる自作例題、標準点と基準点の仕組み、面接への備えまでを、人事院の公式資料に基づいて解説します。
「係員級」の社会人試験が対象とする仕事と資格
社会人試験(係員級)は一般職の採用試験です。受験資格は生年月日だけでは決まらず、高卒者試験の対象となる卒業後の期間が経過していることなどの条件もあります。
国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))は、政策の実行やフォローアップなどに関する事務を職務とする係員を採用するための試験です。高卒者試験や税務職員採用試験と並ぶ別の区分で、社会人を対象としています。職種の級を示す「係員級」という名称は、試験の趣旨欄の職務記述と対応しています。
2026年度の受験資格は、1986年4月2日以降に生まれた人のうち、高卒者試験の対象となる卒業後の期間が経過した人(2024年3月31日以前の卒業者が該当)および人事院が当該者に準ずると認める人に限られます。年齢条件だけで受験できるとは判断しないでください。経験者採用試験(係長級)とも異なるため、その募集条件を流用せず、該当性は公式案内で確認します。
出典: 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))|国家公務員試験採用情報NAVI — 受験案内・試験の趣旨・受験資格・試験の日程・参考(過去の試験問題)
2026年度に受験できる区分:休止に注意
2026年度の社会人試験では、事務・農業・林業の各区分と、技術区分の九州地域が休止されます。受験できるのは技術区分(九州地域を除く)と農業土木区分です。
2026年度の受験案内では、社会人試験の事務、農業及び林業区分、さらに技術区分の九州地域が休止されると明記されています。したがって、この年度に社会人試験として受験できるのは、技術区分(九州地域を除く)と農業土木区分の二つです。
休止は2026年度の実施方針であり、将来の年度にそのまま当てはまるとは限りません。受験を検討する際は、まず自分の専門が技術区分のどの選択系統(電気・情報、機械、土木、建築)か農業土木区分かに対応するかを確認し、そのうえで最新の受験案内で実施区分を確かめてください。
出典: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数; 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))|国家公務員試験採用情報NAVI — 受験案内・試験の趣旨・受験資格・試験の日程・参考(過去の試験問題)
第1次試験と第2次試験の全体像
第1次試験は基礎能力40題・90分と専門40題・100分です。第2次は人物試験で、参考として性格検査を行います。2026年度の社会人試験の実施区分には作文と適性試験はありません。
第1次試験では基礎能力試験と区分別の専門試験を受け、第2次試験では個別面接の人物試験を受けます。性格検査は人物試験の参考として行います。同じ冊子にある税務職員試験の身体検査は、社会人試験の種目ではありません。
作文試験と適性試験は事務系・税務系の種目として位置づけられており、2026年度の社会人試験で実施される技術・農業土木の両区分には含まれません。自分の区分の試験種目は、必ず受験案内の表で確認してください。
試験日程や通知方法は受験年度の公式案内で確認してください。2026年度の申込みは終了していますが、以降の選考日程まで全て終了したという意味ではありません。
| 段階 | 種目 | 形式・内容 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 第1次 | 基礎能力試験 | 多肢選択式・40題(知能分野20題+知識分野20題) | 1時間30分 |
| 第1次 | 専門試験 | 多肢選択式・40題(区分ごとの出題分野は後述) | 1時間40分 |
| 第2次 | 人物試験 | 個別面接(参考として性格検査を実施) | ― |
出典: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数; 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))|国家公務員試験採用情報NAVI — 受験案内・試験の趣旨・受験資格・試験の日程・参考(過去の試験問題)
基礎能力:知能20題と知識20題を学ぶ
基礎能力試験は知能分野20題と知識分野20題で構成されます。社会科学は知識分野のうち6題が出題予定で、教養科目の学習はこの位置づけを踏まえて優先度を決めるのが合理的です。
基礎能力試験の40題は、知能分野20題と知識分野20題に分かれます。知能分野は文章理解、課題処理、数的処理、資料解釈、知識分野は自然科学、人文科学、社会科学、情報です。2026年度の出題予定数は次のとおりです。
知識分野には社会科学6題が含まれますが、受験案内はその内訳を大学専門科目のように指定しているわけではありません。自然科学、人文科学、情報も含め、公式の試験問題で具体的な問われ方を確認してください。
学習のしかたとしては、似た概念どうしの「差分」を一文で言えるようにまとめる方法が、選択肢の判別に役立ちます。たとえば資料解釈では、比と増減の読み替えが土台になります。例として架空の資料で、ある試験の申込者が2024年度に1,200人、2025年度に1,500人だった場合、増加率は(1,500−1,200)÷1,200=0.25、つまり25%の増加と読み取れます。この読み替えを速く正確にできるかが、数的処理・資料解釈共通の確認点です(数値は例示です)。
- 知能分野20題:文章理解7、課題処理7、数的処理4、資料解釈2(出題予定数)
- 知識分野20題:人文科学8、社会科学6、自然科学5、情報1(出題予定数)
出典: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数; 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))|国家公務員試験採用情報NAVI — 受験案内・試験の趣旨・受験資格・試験の日程・参考(過去の試験問題)
専門試験:選択ブロックのルール
技術区分は100題が出題され、必須20題と選んだ一つの系統の20題、計40題に解答します。農業土木区分は40題すべてが必須です。
技術区分の専門試験は「100題出題・40題解答」です。必須問題20題は数学・物理・情報で、どの系統を選んでも全員が解答します。残る選択問題20題は、選択A(電気・情報系)、選択B(機械系)、選択C(土木系)、選択D(建築系)の四つから一つを選び、その系統の20題を解答します。出題案内は「各20題から一つを選択」としており、複数の系統にまたがって好きに20題を選ぶ形式ではありません。自分の専門に合う系統を早期に決め、その系統に絞って学習するのが合理的です。
農業土木区分は「40題出題・40題解答」で、すべての問題が必須です。出題予定数は、農業土木設計13、農業土木施工10、水循環6、測量4、農業と環境・農業と情報7の合計40題です。学習計画はこの配分比を出発点にすると、優先度が決めやすくなります。
- 技術区分:必須問題20題(数学・物理・情報)+選択問題20題(A電気・情報系/B機械系/C土木系/D建築系から一つを選んで解答)
- 農業土木区分:農業土木設計13、農業土木施工10、水循環6、測量4、農業と環境・農業と情報7(出題予定数・全問必須)
出典: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数
必須分野の土台:数理・物理・情報の確認
技術区分の必須20題には数学・物理・情報が含まれます。以下は単位換算、公式への代入、二進数の入門練習であり、各選択系統や農業土木区分の全範囲を網羅するものではありません。
まず計算の流れを見てみます。例(共通の基礎としての確認であり、四つの選択系統のすべてを網羅するものではありません):幅0.8m、水深0.3mの長方形断面の水路を、水が断面を通して一様に0.5m/sで流れていると仮定します。断面積は0.8×0.3=0.24m²、流量は断面積×流速で0.24×0.5=0.12m³/sです。1m³=1,000Lなので、0.12m³/s=120L/sと単位換算までできます。この種の「公式の適用+単位換算」の組み合わせは、数理分野の基礎力の確認に適しています。
物理と情報の基礎は、次の練習問題で確認してください。電気の問題は紙上の計算練習であり、実際の電気工事や配線に関する指導ではありません。ここで押さえるのは、公式を正しく当てはめて数値と単位を出す手順です。
練習問題
次の2問を解いてください。① 抵抗12Ωの抵抗器に24Vの電圧をかけたとき、流れる電流I(A)と消費電力P(W)を、V=IR、P=VI を使って求めてください。② 2進数「1101」を10進数に直し、さらに1と0の論理積(AND)の値を答えてください。
答えを見る
① I=2A、P=48W。② 10進数では13、1 AND 0=0。
①はV=IRを変形してI=V÷R=24÷12=2A。次にP=VI=24×2=48Wです。②は2進数の各桁の重みが左から8、4、2、1なので、1×8+1×4+0×2+1×1=13となります。論理積(AND)は両方の値が1のときだけ1になる演算で、1と0の組み合わせでは0です。単位(A・W)を答えに含めること、公式への値の当てはめを桁の確認と一緒に行うことが、この種の基礎問題での確認点です。
出典: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数
合格者の決定方法:標準点と基準点
得点は素点のままではなく、種目ごとの平均点と標準偏差で換算した標準点で比較されます。多肢選択式の基準点は原則として満点の30%で、一種目でも基準点に達しなければ他の成績に関わらず不合格です。
合格者の決定方法は、各試験種目の得点を標準点に換算して合計する仕組みです。標準点は、ある受験者の素点と種目の平均点・標準偏差の関係から算出され、種目ごとに配点比率が掛けられます。標準点の合計は概ね0~1000点の範囲となり、全種目で平均的な成績ならおよそ500点になると案内されています。素点の満点やばらつきが種目ごとに異なる影響を修正するための仕組みです。算出式の細部と種目別の配点比率は、公式の「合格者の決定方法」文書の表で直接確認してください。
重要なのは基準点の扱いです。多肢選択式試験の基準点は原則として満点の30%で、基準点に達しない種目が一つでもあると、他の種目の成績にかかわらず不合格になります。第1次試験の合格者は、基礎能力試験と専門試験の標準点の合計で決まります。最終合格者は、人物試験で一定の評価を満たした受験者のうち、第1次を含む全試験種目の標準点を合計した得点で決定されます。
基準点の充足と合格は別です。種目ごとの最低条件を満たしたうえで標準点を総合して合格者を決めます。人物試験はA〜Cの評価が必要です。択一の正答率だけで最終合格を予測しないでください。
出典: 2026年度国家公務員採用一般職試験(高卒者試験及び社会人試験(係員級))の合格者の決定方法(人事院) — 得点についての考え方・各試験種目の配点比率・基準点等について
第2次試験(人物試験)への備え
第2次試験の中心は人柄と対人的能力をみる個別面接です。職務経験を自分の言葉で語れるように整理しておくことが、社会人受験者としての実質的な準備になります。
人物試験では人柄や対人的能力などを個別面接でみます。実際の経験について、状況、自分の行動、結果を区別して説明する練習が役立ちます。以下は独自の短い練習であり、公式の設問や採点基準ではありません。
準備には職場、学習、地域活動など、自分が実際に経験した場面を使います。自分が担当したことと、周囲が担当したことを分け、確認していない成果や数字を付け加えないようにします。
実務面では、第2次試験の日時は第1次合格通知書で指定され、原則として変更は認められません。土・日曜日は実施しない予定なので、合格発表の時期に仕事の調整を見込んでおいてください。
練習問題
架空の人物の練習です。倉庫の担当者は、引継ぎメモに品番がなく確認の電話が繰り返されることに気付きました。上司に相談し、同僚と品番欄を加えた様式を試しました。試行後の会議では同僚から「確認しやすい」と意見がありましたが、電話件数の測定はしていません。この事実だけを使い、課題、自分の行動、結果と今後の確認を短く説明してください。
答えを見る
「引継ぎメモに品番がないため、確認の電話が繰り返されていました。私は上司に相談し、同僚と品番欄のある様式を試しました。試行後は同僚から確認しやすいという意見がありました。ただし電話件数はまだ測定していないので、件数も記録して効果を確かめたいと考えています。」
課題と行動を具体的に述べ、同僚の意見という確認できた結果と、未測定の電話件数を区別しています。架空の練習例なので、これを自分の実体験として話してはいけません。実際の面接では自身の経験に置き換え、追加質問にも事実に沿って答えます。
出典: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数; 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))|国家公務員試験採用情報NAVI — 受験案内・試験の趣旨・受験資格・試験の日程・参考(過去の試験問題)
過去問題と公式情報の使い方
公式の試験問題で形式を確認し、受験する技術系統または農業土木の出題範囲を受験案内で照合します。次年度には実施区分や条件が変わることもあります。
人事院の公式サイトには試験問題や合格点・平均点などの資料があります。基礎能力と、自分が受験する専門の範囲を分けて確認しましょう。過年度の実施区分が現在も同じとは限りません。
技術区分では必須の数学・物理・情報と、選択するA〜Dの一系統を準備します。農業土木区分はその区分の40題の出題分野に合わせます。基礎能力では数的処理と資料解釈に加え、文章理解や幅広い知識も確認します。面接の経験整理は筆記の準備と並行して進められます。
最終チェックリストは次のとおりです。次年度を受験する場合は、受付期間や実施区分が変わる可能性があるため、必ず人事院のサイトで最新の受験案内を確認してから申込んでください。
- 専門試験の選択系統(A~Dまたは農業土木)を決めている
- 基礎能力試験40題(知能20・知識20)の形式を過去問で確認した
- 基準点(原則満点の30%)と標準点の仕組みを理解している
- 実際の経験を、課題・自分の行動・確認できた結果に分けて説明できる
- 次年度の受付期間と実施区分を公式サイトで確認する予定である
出典: 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))|国家公務員試験採用情報NAVI — 受験案内・試験の趣旨・受験資格・試験の日程・参考(過去の試験問題); 2026年度 国家公務員採用一般職試験(社会人試験(係員級))受験案内(人事院) — 2026年度の注意点・試験種目・試験の方法・専門試験の出題分野及び出題数
出典
事実確認済み:
