この試験は、政策の実行やフォローアップなどに関する事務を職務とする係員を採用するための試験で、事務・技術・農業土木・林業の区分別に受験します。得点は素点の合計ではなく、受験者全体との相対位置を示す標準点で決まり、どれか一つでも基準点未満の種目があれば不合格になります。この記事では試験形式と合格決定の仕組みを整理した上で、知識分野の学び方と、数的処理・課題処理・作文の自作例題を順に示します。
試験がみているものと4つの区分
高卒者試験は、政策の実行やフォローアップなどに関する事務を職務とする係員の採用試験で、事務・技術・農業土木・林業の区分で受験します。区分によって第1次試験の種目が変わるため、まず自分の区分を確定させることが学習計画の出発点です。
人事院の案内では、この試験の職務を「政策の実行やフォローアップなどに関する事務」としています。学術的な専門研究ではなく、政策を現場で支える事務処理能力をみる試験です。
区分は「事務」「技術」「農業土木」「林業」です。ただし2026年度は農業区分が休止されています。「農業土木」は実施されるので、名称が似ている両者を取り違えないよう注意してください。
事務区分か事務以外の区分かで、第1次試験の構成が大きく変わります。事務は適性試験と作文試験が加わり、事務以外は区分に応じた専門試験を受けます。次の節で具体的に確認します。
参照した公式資料: 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)|国家公務員試験採用情報NAVI — 人事院 公式ページ(受験案内・日程・参考資料へのリンク); 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野
受験資格を確認する
2026年度の受験資格は、2026年4月1日時点で高等学校等を卒業して2年を経過していない人、2027年3月までに卒業する見込みの人、または人事院がこれらに準ずると認める人です。
具体的には、2026(令和8)年4月1日において、高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない者が対象です。2024年4月1日以降に卒業した人がこれに当たります。
在学中の人は、2027(令和9)年3月までに卒業する見込みであれば受験できます。卒業時期がこれに当てはまらない場合は、人事院が「準ずる」と認めるかどうかの判断になるため、公式のQ&Aや案内で確認してください。
申込はインターネットで行われ、2026年度の受付は6月12日~24日でした。この申込期間はすでに終了しているため、次年度以降を受ける人は新しい年度の受験案内を必ず確認してください。
参照した公式資料: 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)|国家公務員試験採用情報NAVI — 人事院 公式ページ(受験案内・日程・参考資料へのリンク)
第1次・第2次試験の種目と形式
第1次試験では全区分が基礎能力試験40題・90分を受けます。事務は適性試験と作文、事務以外は専門試験が加わります。第2次試験は人物試験で、参考として性格検査も行われます。
基礎能力試験は40題で1時間30分です。知能分野20題(文章理解7題・課題処理7題・数的処理4題・資料解釈2題)と、知識分野20題(自然科学5題・人文科学8題・社会科学6題・情報1題)で構成されます。
事務区分は、事務処理の速さと正確さをみる適性試験(120題・15分)と作文試験(1題・50分)が第1次試験に含まれます。事務以外の区分は、区分に応じた専門試験(多肢選択式・40題・1時間40分)を受けます。
第2次試験は人物試験の個別面接で、参考として性格検査を行います。同じ受験案内に記載された税務職員試験の身体検査を、一般職高卒者試験の要件と混同しないでください。日程の変更は公式ページで確認します。
| 種目 | 対象 | 題数・解答時間 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 基礎能力試験 | 全区分(第1次) | 40題・1時間30分 | 知能20題(文章理解7・課題処理7・数的処理4・資料解釈2)+知識20題(自然科学5・人文科学8・社会科学6・情報1) |
| 適性試験 | 事務区分(第1次) | 120題・15分 | 置換・照合・計算・分類などの速さと正確さをみるスピード検査 |
| 作文試験 | 事務区分(第1次) | 1題・50分 | 文章表現力・課題に対する理解力 |
| 専門試験(多肢選択式) | 事務以外の区分(第1次) | 40題・1時間40分 | 区分に応じた専門知識 |
| 人物試験 | 全区分(第2次) | ― | 個別面接。参考として性格検査も実施 |
参照した公式資料: 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)|国家公務員試験採用情報NAVI — 人事院 公式ページ(受験案内・日程・参考資料へのリンク); 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野
合格の決まり方:標準点と基準点
得点は各種目の素点をそのまま合計するのではなく、受験者全体の平均点と標準偏差から算出した標準点で比較されます。全種目で基準点(多肢選択式は原則として満点の30%)に達しない種目が一つでもあると、他の成績にかかわらず不合格です。
標準点は、ある種目で自分が受験者全体の中のどの位置にいるかを相対的に示す点数です。満点の題数が種目ごとに異なることや、素点のばらつきの差を修正するために使われます。公式の説明によれば、標準点の合計は概ね0~1000点の範囲になり、全ての種目で平均的な成績ならおよそ500点になります。
基準点は足切りとして働きます。基準点に達しない種目が一つでもあれば、他の種目で高得点でも不合格です。多肢選択式試験の基準点は原則として満点の30%とされています。そのため、得意分野だけ伸ばす学習では不十分で、各種目で基準点を確実に超えることが最低ラインになります。
第1次試験の合格は、事務区分では基礎能力試験と適性試験、事務以外の区分では基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)の標準点の合計で決まります。作文試験は第1次試験の合格者を対象に評定し、最終合格者決定に反映されます。
適性試験では、正解数から誤答、二重マーク、途中で飛ばした問題の数を差し引きます。公式案内は番号順にできるだけ多く解く形式としています。未着手の末尾まで全問を無理に埋めるという意味ではありません。順序と正確さを保ちながら、処理できる問題数を増やす練習をしましょう。
最終合格では、第1次試験を含む全種目の標準点を総合します。事務区分は作文の基準点も満たす必要があり、全区分で人物試験A〜C評価が条件です。作文の準備は事務区分に、専門試験の準備はそれ以外の区分に対応させます。
参照した公式資料: 2026年度国家公務員採用一般職試験(高卒者試験及び社会人試験(係員級))の合格者の決定方法 — 人事院(PDF):標準点・基準点・第1次・最終合格者の決定
知識分野の学び方と憲法の基礎
知識分野は人文科学8題・社会科学6題・自然科学5題・情報1題の20題です。公式案内はこの科目名レベルまでの記載なので、細かい出題分野は過去問で確認しながら、まず制度の骨格となる憲法の基本構造から固めるのが確実です。
出題数の配分を見ると、人文科学が最も多く、社会科学・自然科学がそれに続きます。1つの分野に偏らず、4分野をまんべんなく学ぶことが基礎能力試験の得点では重要です。
社会科学の中で制度の土台になるのが憲法の統治構造です。日本国憲法第41条は国会を「国権の最高機関」かつ「国の唯一の立法機関」と定め、第65条は行政権が内閣に属すること、第76条は司法権が最高裁判所及び下級裁判所に属することを定めています。さらに第76条は、特別裁判所の設置を禁じ、行政機関が終審として裁判を行うことを禁じています。国会が法律を作り、内閣が行政権を担い、裁判所が司法権を担う、という三権の分担を一文で説明できるようにしてください。
受験案内の分野名を手がかりに、公式の試験問題で具体的な問われ方を確認しましょう。ここで扱う憲法の基本構造は社会科学を学ぶ入口の一つです。これだけで人文・自然科学や情報の準備が済むわけではありません。
例題について
次の各記述と、その内容に対応する機関を「国会・内閣・裁判所」から選びなさい。 ア 国の唯一の立法機関である。 イ 行政権が属する機関である。 ウ 司法権が属し、行政機関は終審として裁判を行えないとされる制度の中心にある機関である。
解答と説明を表示
ア=国会、イ=内閣、ウ=裁判所
第41条は国会を国の唯一の立法機関と定めるためアは国会です。第65条は行政権を内閣に属させるためイは内閣です。第76条は司法権を最高裁判所及び下級裁判所に属させ、行政機関が終審として裁判を行うことを禁じているためウは裁判所です。三つの条文が、立法・行政・司法の三権の分担をそのまま示している点を確認しておきましょう。
参照した公式資料: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野; 日本国憲法 — 衆議院:第41条・第65条・第76条; 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)|国家公務員試験採用情報NAVI — 人事院 公式ページ(受験案内・日程・参考資料へのリンク)
数的処理:パーセントとポイントの違い
数的処理では「何ポイント増えたか」と「何%増えたか」を混同しないことが土台になります。ポイントは比率そのものの差、%増は元の値に対する割合です。短い例題で確実に区別できるようにしましょう。
資料解釈や時事の数字を読む場面で「前年比で何ポイント上昇」「〇%増」という表現が登場します。両者は別の量なので、問題文がどちらを尋ねているかを読み取る習慣をつけてください。次の例題を解いてみましょう。
例題について
ある図書館で、2025年度は来館者600人のうち240人が中学生以下、2026年度は来館者750人のうち330人が中学生以下でした。 (1) 中学生以下の来館者の比率は、何ポイント変化しましたか。 (2) 中学生以下の来館者の人数は、前年度比で何%増えましたか。 (3) 比率そのものは、元の値に対して何%増えましたか。
解答と説明を表示
(1) 4ポイント増。 (2) 37.5%増。 (3) 10%増。
まず比率を計算します。2025年度は240÷600=0.40で40%、2026年度は330÷750=0.44で44%です。(1) 比率の差は44%-40%=4ポイントです。(2) 人数は240人から330人へ90人増えたので、90÷240=0.375で37.5%増です。(3) 比率は40%から44%へ増えたので、元の値に対しては4÷40=0.1で10%増です。同じ変化を「4ポイント」「37.5%増(人数)」「10%増(比率)」という三つの異なる見方で表せること、そして問題がどれを尋ねているかを見分けることが、この例題の狙いです。
参照した公式資料: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野
適性試験:置換の規則を正確に使う
事務区分の適性試験には置換・照合・計算・分類などが含まれます。次の短い独自例題で、対応表と記号の順序を確認する練習をします。
本試験では限られた時間で多くの問題を処理します。焦って規則を飛ばして読むと一気に失点するので、「規則を確認→一問ずつ処理→見直し」の順を守る練習をしましょう。次の自作問題で試してください。
例題について
次の記号対応表に従い、左から順に各記号を対応する数字へ置き換えなさい。 対応表:○→2、△→5、□→8、☆→0 問い:「☆○□△○☆」を置き換えた数字列を答えなさい。
解答と説明を表示
028520
対応表に従って左から一つずつ置き換えます。☆は0、○は2、□は8、△は5、次の○は2、最後の☆は0。つなげると「028520」です。この種の問題で失点するのは難しく考える場合より、対応を取り違えたり読む順番を飛ばしたりする場合です。対応表に指や鉛筆を当てながら一文字ずつ確定させる、置き換え結果を最後に一度だけ見直す、という手順を体に覚えさせておくと、本番のスピード検査でも正確さを保てます。
参照した公式資料: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野
推理問題:手がかりから一意に決める
順位や並びを決める推理問題では、「手がかりを消去に変換する」作業が核心です。全部の手がかりを書き出し、確定するものから順に埋めると、解が一つに定まります。
推理問題で迷う原因の多くは、手がかりを頭の中だけで処理することです。紙に各人の順位の候補を書き、手がかりが確定した順に消去していけば、途中で答えが一つに絞れていることに気付けます。次の問題で確認しましょう。
例題について
A、B、C、Dの4人が、1位から4位までの順位を争いました。次の手がかりから、4人の順位を確定しなさい。 ① Cは2位である。 ② DはBより上である。 ③ BはAより上である。
解答と説明を表示
1位=D、2位=C、3位=B、4位=A
まず①からCの2位が確定します。残るA、B、Dが1位・3位・4位の空きに入ります。③からAはBより下、②からBはDより下なので、3人の間で「D>B>A」という大小関係が確定します。3人を1位・3位・4位に並べるとき、真ん中の関係にあるBが残りの真ん中の順位(3位)に入り、Dが1位、Aが4位です。全員の順位が矛盾なく一つに定まることを確認してください。この「大小関係を先に確定させ、残り枠に当てはめる」手順は、順序・並び替え系の問題に共通して使えます。
作文試験と人物試験の準備
事務区分の作文試験(1題・50分)は第1次試験で実施されますが、評定は第1次合格者を対象に行われ、最終合格に反映されます。第2次の人物試験では個別面接がA~Eの5段階で評価され、A~C評価が最終合格の条件です。
作文試験は「文章による表現力、課題に対する理解力など」をみる筆記試験です。多肢選択式の勉強とは求められる力が異なるため、記述の練習は別の時間を取って行ってください。無料の多肢選択式演習だけで作文の準備が済んだことにはなりません。
人物試験は人柄や対人的能力をみる個別面接で、第2次試験の際に性格検査も参考として行われます。面接は過去問で準備できる科目ではないため、自分の経験を短く整理して話す練習が現実的な準備になります。
作文の練習は、いきなり50分分を書くより、短い課題を「構成を考えてから書く」形で始めるのが扱いやすいでしょう。次の例題は分量を絞った部分的な練習であり、本試験の課題形式や評価基準と同じものではありません。課題の理解→構成→理由を伴う主張、という流れの練習として使ってください。
例題について
次の課題について、あなたの考えとその理由を150字程度で書きなさい。 課題:あなたが学校や地域の仕事・学習の手順を改善した(または改善したいと思った)経験について、何をどう変え、どんな良さがあったかを書きなさい。
解答と説明を表示
(模範解答例)「私の学校では、図書室の貸し出し台帳が紙で、返却忘れの確認に時間がかかっていました。そこで返却予定日を一覧できる表を作り、当番ごとに確認する方法に変えました。その結果、延滞の連絡が速くなり、借りたい人の待ち時間も短くなりました。小さな場面でも、手順を見直せば周囲の負担を減らせると学びました。」
モデルは、困っていた状態、変更した手順、その結果、学びの順にまとめています。これは短い構成練習で、公式の指定字数や評価基準を示すものではありません。自分の経験を書くときは、実際に起きたことと今後の提案を区別し、本番では与えられた指示に従ってください。
参照した公式資料: 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野; 2026年度国家公務員採用一般職試験(高卒者試験及び社会人試験(係員級))の合格者の決定方法 — 人事院(PDF):標準点・基準点・第1次・最終合格者の決定
学習チェックリストと次の一手
受験区分と必要な種目を確認し、基礎能力の幅広い分野と、区分に応じた適性・作文または専門試験を練習します。人物試験では自分の経験を具体的に説明する準備をしましょう。
学習期間は人によって適切な長さが異なります。統一的な期間の根拠はありません。まず過去問を解いて現状を測り、苦手な分野から優先順位を決めるのが最も確実な進め方です。
公式サイトの試験問題で実際の問われ方を確認し、合格点・平均点の資料も参考にします。年度や受験者集団が異なるため、練習の素点をそのまま本番の標準点や合否に換算することはできません。
申込方法や日程などの運用情報は年度ごとに変わります。必ず人事院の公式ページで最新の受験案内を確認してください。
- 志望区分(事務か事務以外か)を決め、第1次試験の種目を確定させる
- 基礎能力試験の知能4分野・知識4分野を偏らず学習する
- 事務区分は適性試験を番号順に、正確さを保って処理する練習をする
- 事務以外の区分は専門試験の出題分野を受験案内で確認する
- 公式の過去問題と現在の受験案内で範囲と形式を確認する
- 合格点・平均点等の公表資料で水準感をつかむ
- 事務区分は作文を練習し、全区分で人物試験を準備する
- 申込・日程の最新情報を人事院の公式ページで確認する
参照した公式資料: 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)|国家公務員試験採用情報NAVI — 人事院 公式ページ(受験案内・日程・参考資料へのリンク); 2026年度 国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内 — 人事院(PDF):試験種目・試験の方法、専門試験の出題分野; 2026年度国家公務員採用一般職試験(高卒者試験及び社会人試験(係員級))の合格者の決定方法 — 人事院(PDF):標準点・基準点・第1次・最終合格者の決定
参照した公式資料
事実確認:
